6月23日
五島長崎国際トライアスロン大会 レポート
所属 VIKING長崎・まつお産婦人科クリニック・諸江内科循環器科
/長崎県協会
内藤 誠

結果 132位/634人  Aタイプ 25-29男子 11位
タイム 12:23:46 スイム01:07:27 バイク06:28:44 ラン04:47:35

 人生ではじめてロングのトライアスロン(SWIM3.8km BIKE180km RUN42.195km)に挑戦してきました。五島長崎国際トライアスロン、通称バラモンキングです。
バラモンキングへは去年応援に行っていて感動し、今年は絶対に自分も出たいと思っていました。きつさや痛さを我慢しながら力強く頑張り続ける選手の皆さんをカッコいいと思いましたし、仲間に入りたいと思っていました。そして、それから1年後、ついにその舞台に立つことができました。
しかし今回、レース2週間前から左足首を故障して走れなくなり、1週間前からは風邪をひいてしまい、さらには台風までやってきて、直前まで心配ばかりでした。それでも楽しみなレースでした。チーム皆の一年間の集大成!始めてのロングの参加で不安もありましたが、勝負したい気持ちも高ぶって燃えていました。

■スイム
 足首を保護するためのテーピングは試泳でふやけてへにゃへにゃになっていたのでスタッフの方に預けました。もう足首はどうにでもなれ!という気持ちでした。
スタートは最前列。ハイライダーの大塚さん、VIKINGチームメンバーの三嶋先生、なっちゃんが近くにいました。このメンバーについていく!スイムはここ最近練習でも追い込めていて、1時間を切る自信もありました。
 どんな展開が待っているのか、どんなドラマが、誰が勝つのか・・皆のドキドキが伝わってきました。笛の音が鳴って、いよいよレーススタート!!ついに、ついにバラモンキングの長い戦いの始まりです!!
 スタートしてすぐ、三嶋先生を右側に見つけて付く作戦を実行しました。はじめのブイをまわって順調に進みました。しかし、僕は右呼吸なので、顔に三嶋先生のキックの水しぶきをうけ、水を飲む回数が増えていました。だんだんそれがストレスになって、さけて距離をおいていたらみるみる自分だけ右外側に流されてしまい、なかなかコースを修正が出来なくなってしまいました。ブイを回るときに三嶋先生から離されてしまい・・単独になった後もコースとリズムの修正がうまくできず、他の選手にも着くことが出来ませんでした。結局2週目も同じように大外を回ってしまい、気持ちも情けなくなってきてしまいました。海練習、もっとやらないと!と強く感じました。
スイムラップ1時間7分

■バイク
 栄養ドリンクを流し込みスタート!とにかく切り替えようと思いました。
 この時点では体力はほとんど消費していませんでした。なんといっても今年一番練習したのはバイクだったので、なんとか結果を出したいと思っていましたし、今回は足首の故障があってランのぶんまでバイクで出しきりたいという想いで飛び出しました。2連覇しているなっちゃんに再三言われていたことは、初出場だしはじめはとにかく抑えて入ること!抑えて我慢して後半ペースを維持することが大切だと。だからとにかく最初は30キロを維持しました。スタートしてすぐに何人かに抜かれましたが、後で抜いてやると自分に言い聞かせて進みました。
 しかし、最初のエイドで事件は起こりました・・落車です。エイドのスタッフさんの持つボトルをとろうとしたのですが取れず、あっと思った時にはバランスを崩して濡れた路面をスリップしました。右肘と右股関節を強打してしまい、ジンジン傷む腕はDHバーを持つことが出来なくなっていました・・。
 ですが、そこで止めようという考えは微塵も浮かびませんでした。1年間、仲間と心を1つにして向かってきたレースです!満喫しよう。他の皆が落車しませんように・・という気持ちになりました。
 それからドロップハンドルを握ってまたペースを保ちますが、佐賀の古賀さん、チームメイトの猪熊さんにあっという間につかまって置き去りにされました。猪熊さんにはバイク終盤で捕まるはずだったのに。やっぱり猪熊さんは格上選手だ・・。ランで追いつけたらいいけどと思いました。

 周回コースの折り返しでは行きに猪熊さんや三島先生、大塚さん、帰りにチームメイトの梁井さんを確認出来ました。なっちゃんの爆走は見れませんでした。仲間に会えたらホッとしましたが、やっぱりかなり雨が強かったので、折り返しで会えない人の状況は心配でした。
 それから何度も登りが続きました。インナーローでカリカリ回す僕を、何人もの選手がゴリゴリこぎながら、DHバーを持ったまま抜いていきました。僕はそれを不思議だなと思いながら黙ってやり過ごすしかありませんでした。今回のレースで得られた一番の課題はやはり登りの遅さです。パワーがないから、それはそうですが、これはパワーだけの問題ではない、何か大事な技術や身のこなしが足りていないと痛感しました。そして、登りで疲れて、登った後の切り替えも遅いし、加速もうまくできませんでした 。
 また、今回は補給をしっかりとることも課題の一つでした。GWに行われた干拓地での180kmTTでは、途中で食欲がなくなって十分なカロリーを摂取できず、100km過ぎで撃沈しました。その反省を活かし、今回は序盤から固形物を食べれるだけ食べて後半にジェル系を流し込む作戦で臨みました。補給をとる間はどうしてもペースが落ち、他の選手に抜かれるのが気になりましたが、ガス欠だけは防ぎたいと思ってどんどん食べました。最初の3時間でパワーバー4本とウイロウ3個、おにぎり2つ、粉末ドリンク1Lの2500カロリー、後半にジェル4つで600カロリー、合計3100カロリー摂取した計算です。おかげでレース中はガス欠とは無縁でしたが、ここまで必要だったかというとそうでもないかもしれません。レース中はだんだんそれが気になって後悔してしまいました。補給も練習中からいろんなパターンでいろんなものを食べてみて、来年は自信を持って無駄のない補給をしないといけないと感じました。

 周回コースの2週目、きつい登りを登り終え、バラモンにみんなで参加して皆が頑張っていることに感動して涙がポロポロ出てきてしまいました。
 また、島民の方やスタッフ、ボランティアの方の応援も雨の中本当に温かかったです。長崎原爆病院でリハビリをした五島の患者さんの顔も見ることができました。元気そうで、よかったです。
 そしてバイクも終盤、時計を見るとバイクスタートからもうすぐ6時間が経とうとしていました。予想外に時間がかかっていましたし、終盤ペースを上げて抜いていくはずが抜かれてばかりの展開でした。最後の方では出場選手の中でバイクは一番遅いのではないかという気持ちになってきました。
 それもそのはずです。あのコースは、もっともっと努力した人が成功するコースだと思います。ぼくはまだまだ努力が足りないと思います。そんなこの五島のバイクコースで来年はもっといい勝負がしたい。今年のバイクは本当に悔しい結果でした。来年までまた頑張りたいです!!
バイクラップ6時間28分


■ラン
 バイクを降りてすぐ芝生の上をバイクシューズで走ったため、よろめきながらトランジットのテントに入りました。テントには同じく初出場の大塚さんがいて、これまでの健闘を讃えあってラン完走を約束し合いました。
 バイクでたっぷり補給をとっていたため、ランで用意していた補給食はすぐに応援の方に預けました。走り出すと、心配だった足首はやっぱり痛く、落車で打った股関節も痛みがズンズンしました。とにかくこれは我慢だ・・。ここまできて止められるか!なっちゃんのお父さんも、我慢我慢!と強く声援を送ってくださいました。
 1ラップ目、コースに飛び出してすぐに13km地点のなっちゃんと遭遇出来ました。バイクコースではあまりのスピードの違いに見ることは出来なかったので、元気に走る姿を見て嬉しくなると同時に、自分の遅さに改めて愕然としました・・(笑)しかし、僕も痛いながらも14キロまではキロ6分切るでペースを刻みながら進むことができました。
 そして2ラップ目、ちょっと完走が見えてきた安心感で気が抜けたのか、急激に左足の痛みが増してきて、左で踏ん張れない分右足も前に出なくなってしまいました。そんな時、佐賀の古賀さんが、胸張って!体幹意識して!とアドバイスをくれました。そうか、体幹か・・丸まった骨盤をぐっと前傾させ、出ない足を骨盤の水平回旋で前に運ぶように意識してみました。すると、なんとか足が前に出る!これならなんとか完走できそうだ!と思えました。また、7kmごとの折り返しの度、すぐ後ろには舘さん、杉山さん、すごい勢いで迫っている山村さんが見え、楽しい展開だなと前向きな気持ちになることが出来ました。チームメイト同士のギリギリ鬼ごっこをしているようでした。
 2ラップ目、3ラップ目は痛みとの闘いで、心拍はまったく上がりませんでした。折り返しごとに仲間たちと声を掛けあって気持ちをチャージしました。みんな頑張っている。何度もまた泣きかけてしまいました。
 そして最後の5Km。なぜだか体が軽くなって不思議でした。ペースも上がって、それまで止まっていた汗もぽたぽた出て来ました。人間は不思議です。痛いと出来るはずのことが出来なくなります。体はきつくないのに足が前に出ない、そもそももっとスピードを上げようとする気持ちが湧いてこなくなります。でも最後5kmと思えばまた体が動きます。体が痛いときは背負っているものやレースにかける思いの強い人が痛みを超えて勝負できるのでしょうか。来年はここで頑張れる気持ちを背負ってレースに臨めたらなあと思います。
 そして最後の折り返しを過ぎて、だんだんMCが聞こえてきて、ゴール会場の強い明かりが見えてきて、そしてついに最後のレッドカーペットが見えてきました。「あ〜、終わるんだな。そういえば案外外は暗くなっているな。今何時だろう。」そんなことを考えました。ほっとしたような気持ちでした。レッドカーペットではなっちゃんとなっちゃんのお父さんが一緒に待っていてくれて、一緒にゴールできました。
 初めて切るバラモンのゴールテープ。すぐにかけてもらったメダルとバスタオル。ジンジン痛む足や落車でできた傷。迎えてくださった仲間の姿。頭はぼんやりしていましたが、少しずつ、実感がわいてきました。
ランラップ4時間47分


■最後に

 あれから1週間、毎日レースの夢を見て、起きると歯を食いしばっていて、ドキドキして・・。たった半日の出来事でしたが、心の中に深く残る出来事でした。でも、やっぱりレースが終わって思うことは、悔しさが大きいです。次は10時間台いきたい!!次の練習も、これからのレースも楽しみです。
 新しいことにチャレンジすること、挑戦することって素敵です。仕事ばかりの毎日に勢いがつきます。たくさんの方がこんな気持ちになれたらいいなと思います。
 去年の感動から1年、このレースを完走できるところまで支えてくださったVIKING長崎の池形コーチ、チームメイト、両親、なっちゃん、その他関わってくださった全ての皆様に感謝します。
 ありがとうございました。


文責:ないぴーさん